Black Bonanza


Alastair Sweeny
カナダのオイルサンドについての本ですが、bitumen(アスファルト)と人類の関わりから地球温暖化、エネルギーシフトまでカバーする内容となっています。
石油が人類に本格的に使われるようになったのは20世紀のことですが、bitumenは紀元前5000年にはすでにイラクにて接着剤や防水剤として使用されていたようです。
カナダのオイルサンドはコスト高のため開発は限定的でしたが、9/11のテロ以降アメリカのエネルギー政策の転換により急速に開発が進み、アメリカの主要な輸入先となっています。
オイルサンドというととかくCO2発生が多いdirty oilといわれがちですが、著者はそもそも温暖化自体に疑問を投げかけています。1970年代は、地球はこれから寒冷化あるいは小氷河期に向かうと騒がれていました。温暖化の象徴であるホッケースティック曲線の捏造疑惑もありましたが、400年くらいの長いスパンで見ればヨーロッパが飢饉に苦しんだ中世の寒冷期の後で温暖な時期が続き、また寒冷な期間となるのではないかという考えです。
温暖化はともかく化石エネルギーが有限であるのは間違いないため、化石燃料があるうちに如何に次世代エネルギーへシフトしていくかが重要です。エネルギーについては高性能次世代太陽電池が早ければ2015年頃には登場すると言う予測がありますが、問題は化石燃料に依存している食糧生産です。人口爆発を支える食糧生産を如何に維持していくかこそが人類の直面する一番の問題ということです。