PUMPED Everyone's Guide to the Oil Patch

David Finch
Fifth House Ltd.
A Fitzhenry & Whiteside Company
ISBN 978-1-897252-09-3

カナダのオイルサンドについての入門書的な本。中東の油田との違いなど分かりやすくまとめられています。
冒頭ではsour gas、sweet gas、derrickmanなど用語について解説があり、その後カナダのオイルサンドの開発の歴史について述べられています。
発見自体は古く1719年にはアサバスカリバーにオイルが滲み出しているのが知られていましたが、カヌー作りの際の防水処理等に使われていた程度で、本格的な掘削は1858年オンタリオ州ハミルトンの井戸が初めてでした。1940〜1950年代にアルバータ州でオイルが発見され、自給体制が整います。第二次大戦中にはノースウエストテリトリーのNorman Wellsから製油所のあるユーコンのホワイトホースまで950kmのパイプラインが作られました。
終わりには掘削にまつわる事故が紹介されており、1897年に掘削されたアルバータ州のアサバスカリバー流域のPelican Rapidsの井戸に火がつき、消し止められたのは1918年と20年も経ってからでした。1924年のTurner Valleyの火災は、ダイナマイトを爆発させることで酸欠状態にして消し止められました。
メキシコ湾のBPの事故は記憶に新しいところですが、資源開発にリスクはつきもの。昔はあれだけ石炭が取れた日本ですから、メタンハイドレートのみならず手付かずの資源がまだまだ眠っているのではないでしょうか?