The Brain That Changes Itself


Norman Doidge, M.D.
EN(http://bizbookrev.wordpress.com/2011/05/27/the-brain-that-changes-itself/)
コロンビア大学およびトロント大学の精神病医、精神分析学者である著者による脳の変化についての本。
巷では右脳はイメージ、左脳が言語および計算を司るというように脳は場所により機能が分かれているという通説となっていましたが、実は脳は使い方次第で常に変化しているようです。右脳、左脳で機能が固定されていると言うのはどうやら間違いで、胎児の間に血栓か何らかの理由で左脳が発達せず、右脳しかない子供が存在することが脳のスキャンにて判明しています。この子供は抽象的な事象の理解などに多少の何があるものの、普通に話しが出来ています。
また、1969年には既にPaul Bach-y-Ritaが、皮膚を通して電気信号を送り、生まれつき目の見えない患者の脳に画像を見せることが出来る装置を発明していたそうです。
さらにMichael Merzenichが開発した学習障害を持つ子供の為の教材Fast ForWord http://www.scilearn.com/で30〜60時間訓練することにより、学習障害児だけでなく自閉症の子供にも効果が認められているとのことです。
先天性、後天性に関わらず脳の損傷によりある機能が損なわれたとき、トレーニングにより近隣の部位がそれをカバーする動きが生じるとのこと。
パソコンにソフトをインストールするように、脳にも目的に合ったトレーニングを施すことで機能が追加できるということでしょうか。
人間年をとるにつれ脳の機能も衰えるという見方が一般的ですが、実は刺激を与え続ければ脳は変わっていくことが出来るようです。考えてみれば、勉強するのは学生時代までで、就職後はせいぜい資格取得の勉強をする程度。このような状態で40年くらい経過すれば脳が衰えて行くのも無理は無いのかもしれません。
高齢化社会の日本、ネガティブな面ばかりが強調されがちですが、トレーニングで高齢者の脳の知的生産性を飛躍的に高め、インテリジェンス国家日本の誕生も可能なのかもしれません。