Payback


Margaret Atwood
“debt”と言う概念はそもそも何時頃生まれたのかについて考えた本。便宜上[経済]に分類しましたが、どちらかと言うと哲学的な内容でもあります。
1章では正義、公平といった概念がかなり古くからあっただけでなく、チンパンジーにもあると述べています。
2章は借りと罪について、3章はCharles Dickensなどの19世紀の小説を中心に無から金を生み出すと言う意味で邪悪な職業としての”miller”つまり製粉業者に言及し、4章では影の面、借金の取立てや強制労働について書かれています。
5章は単に金銭あるいは精神面での貸し借りから自然環境に範囲が広がり、現在の経済活動のツケは近い将来払う時が来るということを、1972年のローマクラブの宣言を交え示しています。
読みながら日本に照らし合わせて、積み上がった国債を始め、バブル崩壊のツケ、少子高齢化社会のツケ、農水産物を輸入に頼るツケなど、これから返済を余儀なくされるであろうツケの多さを考えさせられます。