Transforming Power


Judy Rebick

今回はビジネス書からやや脱線して、トロント在住の政治活動家の本です。
長年左翼として政治活動をしてきた著者がWorld Social Forum参加のため訪れたラテンアメリカで出会った新たな変化への兆しを中心に書かれています。
米国では共和党だろうと民主党だろうと結局は経済政策は大きく変わらず貧富の差は拡大するばかり、他の国でも政党は選挙に勝ち政権を取ったらそれで終わりで何も変わらなかったという閉塞感漂う状況の中、リーマンショックという大きな変化が起こり、オバマ大統領が誕生しました。
歴史的に大きな危機の後には良い方向への変化が起こっており、第一次大戦後のロシア革命世界大恐慌の後のニューディール、第二次大戦後の人権運動などが挙げられます。
この本の初版は2008年11月ですが、その後2011年に入りエジプトから始まった民主化への急速な動きを見ると現在はまさに大きな転換点であると思えます。
抑圧された貧困層は失うものがあまりなく、中東の例のように数日〜数ヶ月で政権をひっくり返すまでの力を持つに至った今、物質的にそこそこ恵まれた先進諸国が策もなく政治/経済/国家システムの疲弊進行を許している間に、気が付いたら新興国に追い抜かれていたという日が来るのも近いのかもしれません。