Radioactivity


Marjorie C. Malley

ビジネス書から少し脱線しましたが、放射能発見の経緯について、歴史とサイエンスを織り交ぜながら描いた本で、20世紀初頭から第二次世界大戦前のヨーロッパが舞台となっています。
パート1では1896年のベクレルのウランからのX線発見に始まり、1898年キュリー夫妻によるポロニウム、続いてラジウムの発見、1911年Soddyによる同位体の“発見”(実際は1909年にSvedbergらにより同位体の概念は既にありましたが)など時系列で数々の発見について述べられています。
パート2では放射能の影響とその用途について。ピエールキュリーほか当時の研究者が経験した“ラジウム火傷”に代表される有害性が明るみになる一方で、少量であれば効果があるということで、放射性肥料からラジウム入り歯磨きなるものも登場したそうです。キュリー夫人と娘のイレーヌは血液の病気で亡くなったほか、Giesel、Hönigschmid、Egon von Schweidler、André Debierneらの研究者は肺癌で亡くなっています。ベクレル、キュリー夫人らの使用したノートは1世紀を経た今でも放射能が残っているそうです。