Who Moved My Cheese?


Spencer Johnson

和訳版「チーズはどこへ消えた?」で有名な本ですが、なぜか今まで読む機会がありませんでした。The One Minute Manager (http://d.hatena.ne.jp/fbrev/20120708)やRaving Fans (http://d.hatena.ne.jp/fbrev/20120806)など著者の本を数冊読んだのを機に、この本も読んでみる事にしました。
100ページにも満たない本ですが、読んでみるとなかなか深い。迷路に住む2匹のネズミと2人の小人が、チーズを求めてそれぞれの行動をとるのですが、シンプルな話ながら様々な事に当てはまるように思えます。
ある日突然部屋からチーズが消え、すぐに別の部屋へ探しに出るネズミ達に対し、知的な小人は考え過ぎるあまり行動が遅れます。また、消えたチーズの責任を他に押し付け、無作為な日々を過ごしていきます。
1998年頃の本ですが、今の世界を、社会を実によく反映しています。突然消えたチーズは、年金であり、終身雇用であり、年功序列であり、原発に支えられた安定した電力です。
昭和は激動の時代と言われたものの、高度経済成長以降の安定した社会にすっかり慣れてしまい、古いシステムを何とか守ろうと汲々としているかに見える日本ですが、どうあがいてもこの大きく変化する時代の中でひとり変わらずにいられるわけではありません。
いつもの部屋からチーズが無くなっても、他の部屋を探しに一歩を踏み出す勇気が一番大切なことの様に思われます。あなたのチーズは徐々に減っていませんか?そろそろ他の部屋を探しに出かけるタイミングかも知れません。