TAR SANDS


Andrew Nikiforuk
昨日に続きオイルサンドの本。著者は同じくジャーナリスト。スタンスは、オイルサンドは環境破壊という点でWilliam Marsdenと同じです。
オイルサンドはDirtyなOilという事から、敢えてタールサンドと呼んでいます。その理由は本書に詳しく述べられていますが、砂との分離の際に大量の水を使用、また採取および分離にエネルギーを大量消費するため、発生する二酸化炭素をCarbon Capture (CO2貯蔵)により削減する計画が公にされていますが、その技術の非現実性、さらにはオイルサンドからの原油生産のために原発まで建設する計画もあるとのことです。
政治面ではオイルによるローヤリティの流れや、Stephen Harper(ハーパー首相)の家系(父がかつてImperial Oilに勤務)とオイルサンドとの関連など、オイルサンド開発の背景にある政治的側面にも言及しています。
この狂気とも思えるオイルサンド開発は、結局はすべて米国のエネルギー安全保障政策のため。カナダ北部に大きな穴を開けて原油採掘を進める一方、最近ではメキシコ湾に大量の原油を漏洩させ、沿岸地域に多大な被害をもたらしている米国の原油依存症に終わりは来るのでしょうか?ずいぶん昔の映画ですが、メル・ギブソンのThe Road Warriorを思い出しました。
2008年初版。全185ページ。