From Naked Ape to Superspecies


DAVID SUZUKI and HOLLY DRESSEL
David Suzuki3日目はHolly Dresselとのこの本が再登場。もともとCBCラジオ番組のために行った200人への取材内容をまとめたものです。”Superspecies”とは地球の歴史において、これだけ短時間のうちにこれだけ大きな影響を与えた種族は人類以外に無い事から”super”が付けられましたが、多分に悪い意味を含んでいると感じます。
内容は9章に分かれており、生態系から始まり人類が自然環境に及ぼしてきた影響、バイオテクノロジー/DNA組換等の危険性、経済/グローバル化の影響など広範にわたっています。資本主義的ものさしでは先進国が”豊か”であることになりますが、自然に恵まれた豊かな暮らしという観点からは途上国の方が”豊か”な場合もあり、自然との調和こそ人類にとって大切である、このようなメッセージは本書だけでなくさまざまなメディアから発信されているとは思いますが、現実は途上国が”豊かさ”を追求して先進国を追いかける過程で資源を消費し、自然にさらに犠牲を強いているわけで、この流れはなかなか変わりそうにありません。
ScientistであるDavid Suzukiの行き着いたところが結局は自然との調和であるのだとしたら、技術の進歩により先進国的”豊かさ”と環境保護を両立できるのではないか?という発想は理系のはしくれの独りよがりに過ぎないのかもしれません。それでも、”情報爆発”の現在、Wikinomics的に知識/情報が技術革新を促進し、とてつもない進化がもたらされるのではないかと、そんな気もしてなりません。
1999年初版、全279ページ。
明日は本書の冒頭にも登場するRachel CarsonのSilent Spring(沈黙の春)の紹介です。今やこの手の本の古典的存在かもしれませんが、1962年に書かれたにもかかわらず古さを感じさせないところが不思議です。