Doing Both


Inder Sidhu
ITバブル崩壊での教訓を活かし、Ciscoがどのように収益を上げる構造に変わっていったかについての本。その秘密はタイトル通り、二つの事を同時に実行するということです。
まずはサプライチェーンの見直し。1,300以上あった部品調達先を4年間で300以下に整理するとともにボリュームディスカウントを廃止し、取引先との共存関係を構築。一方で従来のルーター等の製造販売からIP電話等のソフトウェアソリューションへと新技術を育成しています。
対象とするマーケットも先進国向けの製品開発を続ける一方で新興国市場にも進出し、製品開発にシナジー効果が得られています。
社内のマネジメントについても、意思決定がスピーディーな権力集中型と他部署間でのコラボレーション型の両方を上手く使い分けています。
処遇では、ユニークな才能を持つスター従業員が十分に活躍できる土壌を作りつつ、チームワークも大切にしています。
世の中白黒はっきりつけられる事の方が少ないわけで、いい塩梅が重要ということでしょうか。
と書きながら感じるのは、そもそもアメリカ式は短期の利益極大化のために徹底的に効率を優先し限られた資源を集中させるものとばかり思っていましたが、いい塩梅とは何だか日本的です。
では、最近の日本企業はどうでしょうか?ユニクロは徹底したサプライチェーンマネジメントにより国内で収益を上げつつ海外進出を進めているあたり、Doing bothと言えそうです。牛丼の吉野家は、コストダウンに加えてもう一つ戦略が前面に出てこない限り、安売り競争に引き込まれてしまうのかもしれません。
変化の激しい世の中、一つ一つを順番にやっていては変化についていけないのかもしれません。