Connected


Nicholas A. Christakis, MD, PhD and James H. Fowler, PhD

タイトルからお察しのとおり、人のネットワークに関するものです。人類は、友達の友達から知らず知らずのうちに影響を受けているようです。「友達の友達は皆友達だ」は正しいことを科学的に証明しています。1982年からすでにこのことをテレビで毎日唱えていたタモリは、実はすごい人物かもしれません。
著者はハーバード大教授のDr. Christakisとカリフォルニア大准教授のDr. Fowler。
もともとDr. Christakisは医療面から社会のネットワークに関心を持っており、Dr. Fowlerは政治学者であるものの人間の社会的側面にも興味を持っていたようです。この二人が出会い、化学反応が起き、この本が生まれました。たぶん(本人には未確認)。
本書では健康、恋愛、経済、政治などいろいろな側面からネットワークを調査していますが、98ページにある、米国南部の高校生のネットワーク図は圧巻です。図にすることで、交際範囲が一目でわかります。なんと、図ではきれいな輪が出来ています。つまり、高校生は男女交際を介して皆つながっている、まさに人類みな兄弟。会話で出てくる”Hey, brother” はここから来てるんでしょうか?直視するのが怖い現実ですね。匿名にしても、よくぞこれだけのデータを集められたものだと感心します。学生時代、自分の学校でこのような調査がなくてよかったと安堵します。
でも、見方を変えると、もしこの調査範囲を世界に広げたら、結局は皆つながっているんでしょうね。世界人類皆兄弟、お互い争いはやめましょう。ネットワークの研究が世界の人々のつながりを可視化し、相互理解を深めることで平和な世界がもたらされる、そんなポテンシャルを感じさせる本です。
310ページとややボリュームがありますが、一読の価値ありです。図とその解説部分だけでも…。