GOOD NEWS FOR A CHANGE(グッド・ニュース)


DAVID SUZUKI & HOLLY DRESSEL

少し前の本で、2002年初版。全部で355ページありますが、数ページ毎に区切られており、短編を集めた構成なので読みやすいと思います。
著者はDAVID SUZUKI と HOLLY DRESSEL。念のため紹介しておきますが、DAVID SUZUKIはVancouver在住のscientist/environmentalist/broadcasterで、CBCテレビの”The Nature of Things”の司会を長く務めています。HOLLY DRESSELはMontreal在住で、CBC他のwriter/researcherとして活躍しています。
2001年9月11日のテロに象徴されるように、この世界は貧困、環境など様々な問題が安全保障と複雑に絡み合い、オバマ大統領ではないですが”change”が必要、その”change”をもたらす”good news”を集めたのが本書で、内容はNGOや地域住民の草の根的活動からNike、Ford、Ikea等環境への取り組みに熱心な企業、PCBを無害化する技術の紹介まで多岐に渡り一言では言い尽くせません。
“Good news”の例としては、人間社会の営みを如何にして自然のシステムに近づけるか、農場であればオオカミやコヨーテまでをも保護して自然の草花を増やし牛や羊などの家畜を育てる、林業なら地元に材木を供給しつつクマやクーガーの生息地も維持していくといったものです。
外国の話ばかりと思っていたら、日本の商社が2000年にメキシコで塩田のプラント拡張断念を余儀なくされた話なども紹介されていました。昭和の時代からの日本のビジネスモデルは加工貿易で外貨を稼ぎ、資源、エネルギー、食料などを輸入するというものなので、実は知らないところで日本人の生活が様々な形の影響を世界中に及ぼしていることでしょう。日本国内では環境意識がかなり高まっているとは思いますが、日本人として環境を考えるのに国内だけでは不十分で、たとえば今食べている牛肉が生産された北米だったり、寿司ネタになっている魚が採れた南太平洋など、まさにglobalに考えるべきではないのか、と考えさせられる内容でした。
日本語版は2006年に「グッド・ニュース」というそのままのタイトルで出ています。