Unscientific America


Chris Mooney & Sheril Kirshenbaum
理系離れはアメリカでも同じようで、インターネット普及による新聞離れで科学面は消滅し、宇宙の始まりはビッグバンと答えられるアメリカ人は40%に満たないとのこと。今やアメリカ人の科学に関する情報源はすっかりインターネットになり、エセ科学を信じてしまうリスクも高くなっています。
一方で、大学で科学系を専攻し修士、博士の学位を取得してもポスドクの給与は低く、また年々大学での採用枠は減少傾向にあるため、文系卒で金融業界に就職した場合と比較すると待遇面でかなり見劣りするといった問題も出てきています。
ではどうすればいいのか?ですが、科学技術の進歩なしに国の発展はないことから、政治と科学の距離を近くする、そのためにはコミュニケーション能力の高い科学者の養成が必要で、また科学者になることでインセンティブが得られるような仕組みが必要と説いています。
日本もまさに同じ状況で、理科離れをどうするか?と言った議論が頻繁になされています。ただし、全員を理科好きにさせることはおそらく不可能でしょう。全て一律にという戦後のマスプロ教育の発想を捨てて、理科好きの子供が飛び級で早く大学に進学でき、また授業料も免除という枠を設けて、スターを作る方が合理的ではないでしょうか。理系離れが進んでいると言われるアメリカですが、それでもまだ特許出願数は日本のおよそ4倍であることを考えると、科学者の“生産性”は高いわけで、そのような高生産性の科学者を養成する方が、バラ撒きで理科を押し付けようとするよりよほど効率的だと思います。
また、事業仕分けで研究費も削られつつある世の中ですが、はやぶさのように世間の関心を集めるプロジェクトも存在します。インターネットの世の中、国から予算が十分に出ない場合は、不足分をワンクリック募金で集めるような工夫が必要かもしれません。