The Black Swan


Nassim Nicholas Taleb

この本を読まなくともブラックスワンという言葉を目にした方は多いと思います。特に震災後、原発事故や急激な円高による製造業の収益圧迫など、ブラックスワンと例えられるかもしれません。
厳密には、東北地方の地震は数百〜千年に一度で他の地域でも同等規模の地震が周期的に起こってきたことが明らかとなり、原発にしても活断層上に位置していたり老朽化による劣化の懸念からほとんどの原発が運転停止に至った今となっては、起こりうる確率という点からはブラックスワンよりはまだ起こりやすいものかもしれません。
本題に戻ってブラックスワンですが、まさに想定外の出来事と言えると思います。ベル曲線に代表される平均像からは想定外とされるブラックスワンですが、現実の世の中ではそういう稀な事が起こり得る、第一次世界大戦しかり、ソビエト連邦崩壊しかり、9.11テロしかりです。観光名所のシドニーオペラハウスも実は1963年オープン予定が10年遅れ、費用も7百万AU$の予定が何と104百万AU$と想定外な建物となりました。
確かに大部分のものはベル曲線の範囲に収まる訳ですが、ごくたまに収まらない想定外のことが起きる、しかもこの想定外の出来事こそが社会に、歴史に非常に大きなインパクトを与えると言う事を今一度認識しておきたいと思いますし、まさに今日本が、世界がおかれている状況を説明していると思います。