WIKINOMICS(ウィキノミクス)


Don Tapscott & Anthony D. Williams
少し前の本ですが、タイトル通りWikipediaに代表されるweb上でのコラボレーション(mass collaboration)について。
Webが単なるuser generated mediaあるいはsocial networkingから、new mode of productionへ進化すると説いています。これをsocial netの爆発と表現しています。でも、岡本太郎先生なんか1960年代からすでに爆発していたのだから、ある意味すごいですね…と話が逸れてきましたが、確かにインターネット普及当初は単なるe-mailの利用程度で企業の生産性に与える影響というのはそれほど大きくは評価されなかったと思いますが、mass collaborationによりそれまで考えつかなかった技術と技術の結びつきが可能となりつつあるということでしょうか。
実例としては、Goldcorpという金の鉱山会社が2000年に懸賞金をかけて次に採掘すべき場所のコンテストを実施した結果、110箇所の採掘候補が得られ、そのうち半分以上は従来の地学では特定できなかった箇所だったようです。数学や物理学を応用し、金埋蔵箇所のマッピングをした例もあったとか。身近なところではP&Gなんかもmass collaborationで新製品を開発しているそうです。
北米では、もはや企業は単独で製品開発する時代は終わったようです。では、日本は?パ○ソニックや○芝がmass collaborationで製品開発する時代が来るのだろうか?WIKINOMICSを上手に利用していくには、従来の会社組織の枠を超えた企業活動が必要となり、組織自体の変化が不可欠だと思います。
著者は二人ともNew Paradigmというシンクタンク勤務。
2007年初版、日本語版あります。全319ページ。