Click(クリック)


Bill Tancer
著者はHitwiseという会社のglobal research部長で、インターネット上のデータをマーケティングに活用する類の仕事をしています。検索行為から人々の行動を探ることで色々な事実が見えてきます。
内容は2章に分かれ、1章ではどのようなデータが得られるかの例について、アダルトサイトへのアクセスが多いのは金曜日でオハイオ州からが最多であるとか、ダンスパーティーのドレスの検索は1月が最も多い等の事実が挙げられています。また、Web2.0では80/20のパレートの法則(Pareto Principle)は成り立たず、1-9-90に近い法則が当てはまることを、YouTubeの投稿者はユーザーの0.16%相当であるとか、Wikipediaの編集者は全ユーザーの3.5%相当という事実より説明しています。このように読み進んでいくと、プライバシーが丸見えでは?という疑問が湧いてきますが、これらデータは匿名処理後のものを扱っているためプライバシーは守られているとのことです。いずれにせよHitwise社はU.S.A.、UK、Hong Kong、Singapore、Australia及びNew Zealandのデータしか処理していないので日本人のプライバシーは大丈夫でしょう。
続く2章はこれらデータのビジネスへの応用ということで、Pontiac SolsticeのマーケティングYouTube/MySpaceを通して売れていったバンド”Arctic Monkeys”などの実例を挙げながら、新商品/サービスが普及していく過程を”Early Adopter”、”Early Majority”等の層に分けて分析しています。ネット上のデータから、”Early Adopter”はどんな人種か、住んでいる地域から乗っている車、ファッション/音楽の好みまで分かってしまうそうです。
詰まるところ、”we are what we click”。デカルト以来「我思う、ゆえに我あり」でしたが、Web2.0の世の中は「我クリックする、ゆえに我あり」となるようです。