The Great Depression Ahead(最悪期まであと2年!次なる大恐慌)


Harry S. Dent, JR.
著者はハーバード大MBAでH.S. Dent Foundationを経営。
内容は過去のデータを基に経済に影響を与える様々なサイクルを見出し、今後を予測するもので、株式市場の40年のサイクル、コモディティの30年サイクル、またDemography(人口統計学)のサイクル等が登場します。株式市場のサイクルは1929年、1968年の次が2009年頃、コモディティサイクルは1920年、1951年、1980年と続きやはり2009年頃、Demographyサイクルは人生でもっとも支出がかさむのが45〜50歳というもので、米国のBaby Boomerは1950年代後半生まれのため45〜50歳を迎えるのが2009年頃、これらのサイクルが重なって不況が来るというものです。
日本に当てはめると、団塊世代が45〜50歳を迎えたのが1990年代、それからバブルが弾け失われた10年に至った事実と一致しています。次は団塊ジュニアが45〜50歳になる2015〜2020年に向けて景気が上向くことになりますが、晩婚化、少子化等他の要因も考慮する必要がありそうです。
上記のサイクル以外に技術のサイクルや、不動産バブル、新興国と先進国のDemography、これからの資産運用法、デフレ経済下で利益を上げる法などグラフを多用しながら解説しています。米国については地理的要因もあり、Baby Boomer二世や移民がどのあたりに移り住むかの予測もあります。データによればNorth Dakotaはこのまま人口流出が続くといずれ誰もいなくなるようで、やはり米国人も暖かい所に住みたいという気持ちがあるようです。
本書に出てくるサイクルが全て正しいかは別として、若者が携帯に金を使うから車が売れなくなって景気が悪くなったとか報道しているようなマスコミよりはためになる本だと思います。