The End of Poverty(貧困の終焉)


Jeffrey D. Sachs
問題を抱えた国が貧困、飢餓、疫病といった下降スパイラルからどうしたら這い上がれるのか?についての本です。
著者は20年間に渡り全人口の90%に相当する100カ国以上の国々を訪れ、その状況を目の当たりにしてきました。脱貧困には、まず始めに貧しい国がはしごの一段目を上がれるよう、豊かな国が援助をする必要があると説いています。September 11のテロ以降米国はテロとの戦いを宣言し、2005年には4500億ドルを軍事に費やしていますが、そのわずか30分の1の150億ドルで世界を不安定に陥れている貧困問題に対処できるそうです。
そのメインとなるものが2002年に国連にて採択されたMDGMillennium Development Goals)で、2015年までに1990年対比で貧困層の数を半分にするという計画です。MDGは以下の5項目からなります。
1 Differential Diagnosis(その国に必要な政策や投資の見極め)
2 Investment Plan(投資の規模やタイミングの決定)
3 Financial Plan(投資のための資金計画)
4 Donor Plan(複数年にわたる資金供給体制)
5 Public Management Plan(民間の投資をサポートする政府、地方公共団体の体制づくり)
新聞、テレビ、雑誌などで昔から貧しい国への援助のための募金活動を目にしますが、それら活動が何十年にもわたり行われているはずなのに、一向に問題が解決しないのはなぜ?そう考えたとき、援助の体制が重要であると気づかされます。単発で食料だけ送る、衣類だけ送るのでは不十分で、貧困スパイラルから脱出できるような仕組み作りこそが重要なのだと思います。
特定の貧しい村だけを救ったり、飢えている子供に食料を援助して結局大人になっても飢えの状態が続くより、国連のような機関がイニシアチヴをとり、国を挙げて一気に取り組む必要があるということです。
慈善活動はイメージに流される部分が多々あると思いますが、100円を寄付して数人の子供が一日食料を口にすることが出来て良かったで終わるのではなく、貧困の根本原因は何か?そこを変えていかない限り問題の解決は無い、この点はビジネスと同じです。